田舎で増加する空き家問題は、地域全体の健全な発展に悪影響を及ぼしています。
愛南町でも同じような状況で、空き家が増えているのは間違いない事実です。
しかし、空き家所有者さんが、空き家問題を解決する行動を取っているかといえば、必ずしもそうではなく
- どうしていいのかわからない
- 相談相手がいない
- 相続した空き家で見たこともない
- 遠方で解決するために動くのが困難
- 解決するための資金がない
などの理由で、放置されている空き家も多くあります。
今回は、その背景とともに、
- 空き家を放置するとどのような問題が発生するのか?
- どのような解決方法があるのか?
を紹介していきます。
空き家問題の現状
増加傾向にある空き家
近年、日本全体での高齢化と都市への若者の流出が進む中、特に田舎ではその傾向が顕著です。
愛南町でも多くの若者が高校卒業、早ければ高校入学の段階で愛南町を離れ、そのまま愛南町外や愛媛県外で就職することになります。
高齢者が住んでいた住宅は、高齢者施設への入居や、亡くなることによって空き家になります。
これにより、数々の建物が空き家として残され、地域社会の荒廃が進んでいます。
空き家所有者の活用意向
所有者の中には、所有する空き家を有効に活用したいという願望があります。
しかし、その実現にはさまざまなハードルが立ちはだかります。
- 遠方に住み仕事もあるため、空き家のある場所まで行くことができない
- どのような活用方法をすればいいのかわからない
- そもそも空き家の場所がわからない、知らない
- 活用する資金的余裕がない
などです。
遠く離れた田舎の空家は、常に見えるわけでもなく、どのような状況になっているのかわかりません。
そのため、今やらなくてもいいこととなり、やがて放置されることになります。
空き家所有者の抱える課題
所有者は、適切な管理が難しく、その放置による問題が次第に膨らんでいます。
これは地域全体に
- 景観の悪化
- ゴミなどの不法投棄
- 害虫や害獣の温床
- 犯罪への悪用
- 放火の危険
- 周辺不動産価値の減少
などの悪影響を及ぼす要因となっています。
実際にそのような空家を、愛南町でも目にすることがあります。
日を追うごとに状況は悪化していき、もう、解体するしか問題解決の方法はないのではないか?と思えるような空家もあります。
空き家を活用せず放置することのリスクとデメリット
住宅劣化の可能性
放置された空き家は、絶え間ない風雨や季節の変化に晒され、建物が老朽化・劣化していくリスクが高まります。
この劣化が進むと、建物の崩壊や安全性の低下が懸念されます。
人が住んでいるとそうでもないのですが、空き家になった途端、劣化のスピードが速まります。
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 傾き
が始まると、一気に劣化し、活用することも難しくなるため、問題解決の選択肢も減ってしまいます。
だからこそ、早めの対策が必要となるわけです。
もし建物が崩壊したり、建物の一部が落下して、誰かに当たったり、周辺の住宅や車を破損させてしまったりしたら・・・と考えると一刻も早い対応が必要になるでしょう。
周辺地域への悪影響
空き家が増加することで、その地域全体の不安定化が進みます。
- 草や木が多い茂っている
- 窓ガラスが割れている
- 外壁が剥がれている
などの空き家は、通りかかる人々に寂れたイメージを植え付け、地域全体の住環境が悪化します。
また
- 害虫や害獣が住みついている
- 悪臭がする
などの実害や
- 犯罪者の拠点にされる
- 放火される
- ゴミを不法投棄される
などの治安の悪化にもつながります。
こうなれば、周辺の不動産価値は減少し、大きな損失ともなるでしょう。
また周辺に住んでいる方からの苦情の連絡も入ってくるようになり、解決するまでストレスを抱えることになります。
「管理不全空家」「特定空家」の指定
特定空家
著しく周辺に悪影響を与える空家の場合、自治体から
- 特定空家
に指定されます。
特定空き家に指定されますと
- 自治体から助言・指導
- 土地の固定資産税優遇措置から除外
- 命令に背くと罰金
- 行政代執行
などの措置が取られます。
土地の固定資産税は住宅があることによって
- 200㎡までは6分の1
- 200㎡以上は3分の1
になっております。
これがなくなるわけですから、単純に土地の固定資産税は6倍になると思っていればいいでしょう。
愛南町の固定資産税について 計算方法は?軽減される特例や特例が取り消される注意すべき特定空き家の指定とは?
さらにそれでも放置すると
特定空き家になっている原因を排除しなさいという命令が自治体から受けるようになります。
- ブロック塀を撤去
- 樹木を伐採
- 家屋を解体
などすることになるのですが、それに背くと過料も発生するようになります。
それでも改善されない場合は、行政代執行で行政が所有者に代わって対処するようになります。
当然ですが、それらにかかった費用は空き家所有者に請求されるようになります。
管理不全空家(2023年12月13日施行)
そのようなリスクのある特定空家ですが、その前段階の、そのまま放置すると特定空家になる可能性のある空き家を、新たに指定することとなりました。
それが
- 管理不全空家
です。
管理不全空家の指定は2023年12月13日からとなっております。
こちらも土地の固定資産税の優遇措置はなくなります。
特定空家はかなり劣化した住宅が指定されていましたが、その前段階でも管理不全空家が指定されることになりました。
やはり特定空家になってからですと、対策の選択肢が少なく問題を解決できないので、その前段階で解決していこうということだと思います。
そのため今後、この管理不全空家に指定される住宅が増えてくることでしょう。
固定資産税についてはこちらをご覧ください。
愛南町の固定資産税について 計算方法は?軽減される特例や特例が取り消される注意すべき特定空き家の指定とは?
建物や土地から得られる利益の機会損失
有効な活用がなければ、空き家の潜在的な資産価値が失われるだけでなく、それらから得られたはずの利益の機会損失が生じます。
例えば、今の状態だと
- 何とかリフォームができて賃貸できる
- まだ買いたいという人がいて売却ができる
などの対策がとれるのですが、何度も申し上げているように、やはり空き家になると劣化のスピードが早く、上記のような対策が取れなくなってしまうということです。
空き家になって早い段階であれば、そこからお金を得ることができます。
しかし空家を放置して時間が経ってしまうと、できるのは解体して土地の固定資産税を払い続けることだけになってしまいます。
解体には当然お金がかかりますし、建物がなくなりますと、土地の固定資産税の優遇はなくなり、6倍の固定資産税を払い続けることになります。
早く対策することでお金が得られたのに、放置してしまったために、今度は多くのお金を払い続ける事になってしまうわけです。
空き家になったら早い段階での賢明な活用戦略が求めらるということです。
空き家の活用方法を考える必要性
空き家の活用方法は多岐にわたりますが、その中でも特に賢明な選択をするためには、現地の状況や法的要件を正確に把握し、専門的なアドバイスを受けることが不可欠です。
不動産業者に相談する
まずは不動産の専門家でもある不動産業者に相談してみるのも一つの方法です。
不動産業者であれば
- 不動産業者が空家を買い上げる
- 仲介に入ってもらって売却してもらう・賃貸してもらう
などをしてもらえる可能性があります。
不動産業者は基本的には成果報酬ですので、相談して売却や賃貸が実際にできるまではお金がかかりません。
愛南町で自宅を売却したときの税金はいくらになるのか?使えそうな特別控除や使うために必要なこと
また、ほかの専門家などともネットワークがあるため、そのような専門業者を紹介してもらえる可能性もあるでしょう。
ただ賃貸は、いろいろと手間がかかりますので、時間のない忙しい方や、資金の少ない方はおすすめしません。
修繕が必要になったり、トラブル対応が必要だったりと、結構手間とお金がかかります。
できれば売却して、自分の手から離れるほうがオススメです。
愛南町の空家の相談を有限会社千寿不動産部へ相談するならこちら
自治体に相談する
多くの自治体では、空き家バンクの運営をしています。
空き家バンクでは、移住者向けにリフォームの補助金があるなどのメリットが有るため、空家の売却の可能性が高まります。
空き家バンクの登録から売却までを有限会社千寿不動産部がお手伝いします!空き家バンク制度の上手な活用方法とは?
愛南町でも移住者に対して補助金があり、活用されています。
愛南町へ移住される方におすすめの補助金「愛南町移住者住宅改修支援事業費補助金」とは?2023年度版
またとても売却や賃貸にも出せそうもない空家の場合は、解体費用の補助金を出している自治体もあります。
解体しか選択肢がないような物件の場合は、このような補助金を活用するのもいいでしょう。
愛南町にも老朽化した空家解体の補助金があります。
しかし、厳しい基準があり、予算も限られているため、早めに相談しておくのがいいでしょう。
自治体ではそのようなアドバイスもいただけるので、相談してみるのも一つの方法でしょう。
司法書士に相談する
相続した空家の場合
- 相続土地国庫帰属制度
というのがあります。
空家を取り壊して土地だけにしないと使えない制度ですが、国に土地の所有権を移すことができます。
審査があったり、初めに費用がかかったりしますが、その後の心配がないので安心できるでしょう。
田舎などの離れた場所にある土地に関しても、その地域以外の全国の法務局で相談ができるようになっていますので、予約を入れて相談してみましょう。
また弁護士や司法書士なども、申請のお手伝いをしていただけますので、相談してみるといいでしょう。
相続土地国庫帰属制度の詳細はこちら
相続土地の課題と解決策の新たな制度「相続土地国庫帰属制度」とは?
空家は早めの対策が重要
空き家問題は増加しており、放置すると様々なリスクとデメリットが発生します。
空き家問題には目を背けてはいけません。
早めの対策が重要です。
早く対策することで、売却や賃貸へつながり、お金を手にすることができます。
しかし対応が遅れれば遅れるほど、空き家になった家の劣化は速く、対策の選択肢はドンドンなくなっていきます。
最後は解体して固定資産税を払い続けるということになるでしょう。
そうならないためにも、早めに専門家へ相談して対策していきましょう。
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